起業後にオフィスを持つと、自社のブランディングがしやすくなったり、来客対応スペースを持つことができるといったメリットがあります。しかし、月々のランニングコストに頭を抱えている方も多いようです。
そういった問題の打開策として、月額数千円という料金で利用できる「バーチャルオフィス」が、今、注目を集めています。
バーチャルオフィスを利用すれば、賃貸オフィスを持つより大幅にコストカットが可能になると言われていますが、具体的にどれくらいコストを下げることが可能なのでしょうか?
都内の賃貸オフィスとバーチャルオフィスを利用した時にかかる費用を比較して見ていきましょう。
例えば東京都千代田区でオフィスを借りた場合、どのくらいのコストがかかるのでしょうか?
千代田区のオフィスの賃料相場(/月・坪)
丸の内……40,360円
麹町・番町……26,286円
内神田・鍛冶町……26,289円
飯田橋・九段下……22,756円
参考:三井不動産
30坪のオフィスを借りた場合、月額60万円〜120万円の賃料を支払うことになります。
さらに、賃貸オフィスを借りると以下のような初期費用もかかります。
・敷金と礼金
・仲介手数料
・前家賃
・保証会社保証料
・火災保険
・内装費用
会社の規模によって初期費用の差はあるものの、オフィス契約時には数十万円〜数百万円とかなり高額な資金が必要なことは明らかです。
それでは、千代田区に実在するバーチャルオフィスの料金の一例を見てみましょう。
・基本料金……5,000円/月
<以下、オプション>
・電話転送(受信のみ)3500円/月
・電話転送(受発信)5500円/月
・電話秘書代行……10,000円/月
・FAX転送……5000円/月
・会議室の利用……1000円〜/時間
基本料金は運営会社によって異なりますが、数千円からとリーズナブル。
また、電話やFAX、郵便物の転送サービスは必要なものだけ選びオプションとして付けることが可能です。
このバーチャルオフィスを利用する時も、以下のような初期費用がかかります。
・入会金……20,000円
・保証金……30,000円
入会金と保証料金足しても数万円。敷金礼金や、前家賃、内装費用を支払う必要はありません。
バーチャルオフィスを活用すれば、月々のオフィス賃料にかかっていた経費を少なくとも数十万円、場合によっては100万円以上も削減できる可能性があります。収益が出ていない創業期や、固定のオフィスを必要としない業種であれば、バーチャルオフィスを上手に活用して経費の節約をするという選択を検討してみてはいかがでしょうか。
これまで賃貸オフィスを使っていた企業が、全社リモートワークに方向転換し、バーチャルオフィスに引っ越しをするというケースもあるようです。
月額数千円という料金で東京の一等地に会社の住所を持つことができるのはバーチャルオフィスの最大の魅力かと思います。
しかし「いかに料金が安いか」でバーチャルオフィスを選んでしまうと、思わぬ落とし穴が……。
比較検討していくと、サービス品質の低いバーチャルオフィスが存在することにも気づきます。ホームページに記載されている料金に惹かれて申し込んだものの、実際にはマンションの一室を「オフィス」と名乗っていただけで、常駐スタッフもおらず管理は杜撰……という残念なケースも。
社会的信用性の低いバーチャルオフィスと契約してしまうと、銀行で法人口座を開設することが難しくなったり、バーチャルオフィスの住所が犯罪に利用されている可能性さえあるのです。多くの人が同じ住所を利用するバーチャルオフィスでは、住所の信用性は無視できないチェックポイント。あなたの会社の信用にも関わってくるので、契約前に運営会社の信用性を調べてみたほうが良いでしょう。
そして、必ず見学へ行き、自分の目でバーチャルオフィスの雰囲気やスタッフの対応を確かめることも大切です。
利用料金が安いということ以外にも、バーチャルオフィスにはたくさんの魅力があります。
・事務用品を揃えなくてOK
賃貸オフィスを契約した場合、最初にデスクやPC、プリンターなど事務用品を一式揃えるための資金と手間がかかりますが、バーチャルオフィスではそういった準備はいりません。専用の執務エリアはありませんが、ワークスペースやミーティングシートを設置しているオフィスもあり便利です。ネットも繋がっているので契約の必要はありません。
・利用者同士の横の繋がりができる
バーチャルオフィスによっては交流会を定期開催しているところもあります。賃貸オフィスの場合は自分の会社のメンバーとだけしか顔を合わせませんが、バーチャルオフィスを介してちょっとした異業種交流が実現できるのです。人の入れ替わりもあるので、新しいビジネスパートナーと出会えるチャンスも多いはず。
・会議室を必要な時だけ利用できる
バーチャルオフィスを選ぶ時は、必要な時だけ利用できる会議室があると便利です。大中小と様々な規模の会議室を用意しているところもあるので、利用人数に合わせて部屋を選ぶことができます。カウンセラーやコンサルタント業の方は、バーチャルオフィスの会議室をクライアント応対のために利用することも。
・サービスをカスタマイズできる
バーチャルオフィスを選ぶ時の基準として、電話や郵便、FAXの転送サービスや秘書代行など、オプションサービスの充実度を見てみましょう。ワークスタイルや業態に合わせて必要なサービスだけ選びカスタマイズすることで、さらなる経費削減が見込めるかもしれませんよ。
・個人事業主やリモートワーカーと相性が良い
自宅を拠点に仕事をしている人がバーチャルオフィスを利用するメリットは、プライバシーを守ることができること。自宅の住所をHPやパンフレットに掲載する必要がなく、私生活と仕事を分けることができます。
・スタッフ常駐なら来客対応も安心
運営会社のスタッフが常駐しているバーチャルオフィスなら、来客時の案内も安心。会社のイメージの決め手にもなるので、応対品質の良いオフィスを選ぶと良いでしょう。
東京でビジネスを始めたいと思っている方は、賃貸オフィスだけでなくバーチャルオフィスも一緒に検討してみてはいかがでしょうか。
上述したように、バーチャルオフィスは月々のランニングコストを大幅に節約できるだけでなく、使い方によってはあなたのビジネスをより快適にしてくれる可能性があります。
料金だけでなく、事業との親和性(他サイト参考記事:ビジネスレベルに合わせたバーチャルオフィス選び)、エリアやサービス内容、オフィスの雰囲気など様々な側面からバーチャルオフィスを比較検討することをおすすめします。