2016年に女性活躍推進法が施行されて以降、社会で活躍する女性たちの姿がメディアなどで取り上げられる機会も増えてきました。
帝国データバンクの調査結果によると、2018年の時点で女性社長の比率は7.8%。30年前の1988年の4.2%に比べると緩やかながら上昇していることが分かります。
一方で、ライフステージの変化や、ロールモデルとなる女性がまだまだ少ないという課題もあります。女性たちが働きやすくなるために、在宅ワークなどの柔軟な働き方や、ママ向けのワークスペースの開設などさまざまな解決策も提案されている最中です。
中でも、バーチャルオフィスは女性起業家たちの間で近年注目を集めています。今回はその理由を解説していきましょう。
女性が起業する時には、主に以下のような心配事があります。
妊娠、出産、子育て、親の介護といった家庭内での役割と、経営者としての自分の役割のバランスに悩んでいる女性は多いようです。
会社員であれば福利厚生を使えたり、出産や育児、介護に関するサポートを受けたりすることが可能ですが、自営業の場合はそういったものがないため自分自身で調整しなくてはいけません。志なかばでビジネスを諦めてしまう方もいます。
女性起業家自体の数が少ないため、ロールモデルとなる人物や同性の仕事仲間が少ないという心配もあります。女性ならではの不安に共感し、気軽に相談することのできる相手がいない不安が積み重なり、ストレスの原因に。
起業すると、名刺やホームページに会社の所在地を明記する必要があります。賃貸オフィスを契約している場合は良いのですが、自宅で開業している場合は住所を公開することになるので、安全性の問題から抵抗を感じる方も多いでしょう。
自宅で仕事をするメリットは大きいものの、会社の所在地まで自宅にしてしまうのは悩ましいところです。
カンセリングやコンサルタント業を営む場合、クライアントと対面するための場所が必要となります。個室が必要な場合はレンタルスペースを借りる方もいますが、初対面の人と二人きりになることに不安を感じているという声も。
できるだけ人目のあるカフェやカラオケボックスなどを利用するとしても、落ち着いて話しができないという問題が残ります。
女性起業家には、女性ならではの様々な悩みや課題があります。バーチャルオフィスをうまく活用すれば、そういった問題をクリアできるかもしれません。バーチャルオフィスにはどういった良さがあるのでしょうか?
バーチャルオフィスを活用すれば、自宅と会社の住所を別に持つことができます。住所だけでなく、電話やFAX番号をレンタルすることもできるので、携帯や自宅の電話番号をビジネス用に公開する必要はありません。
賃貸オフィスとは違い、月額利用料金数千円〜とリーズナブル。さらに東京の一等地に会社の所在地があるというだけで、会社のイメージがアップします。
妊娠や出産、介護といったライフステージの変化に伴い、仕事のボリュームや固定経費を調整したいと考える方は多いと思います。
バーチャルオフィスを活用して自宅で作業をしたり、賃貸オフィスからバーチャルオフィスに引っ越しをして月々の固定経費を大幅に節約したりと、ライフスタイルに合わせて柔軟な選択が可能になります。
バーチャルオフィスによっては会員の交流会を定期開催しているところもあるので、同じ女性起業家の仲間と出会うチャンスが生まれます。賃貸オフィスを利用していると、顔を合わせるのは同じ会社のメンバーばかりになってしまいますが、バーチャルオフィスは人の入れ替わりもあるため、新しいビジネスの繋がりが生まれやすい場所なのです。
スタッフ常駐でさらに会議室を設けているバーチャルオフィスの場合、クライアントと二人きりになることがないので、個人でレンタルオフィスを借りるよりも安心です。個室であっても、スタッフが常にオフィス全体を見守ってくれているので、困ったことがあればすぐに間に入ってもらうこともできます。ガラス張りやパーテーション仕様など、オープンな雰囲気の会議室も女性起業家たちに人気のようです。
バーチャルオフィスは女性起業家にとってメリットが多いサービスです。しかし、運営会社によってサービスの質に差があるというのも事実。プライバシーの面などで安心したいからバーチャルオフィスを契約したのに、サービスの品質が悪いため余計に不安になってしまったという失敗談もあります。
一度法人登記すると住所を変更するには時間と費用がかかるので、失敗しないバーチャルオフィスの選び方を心得ておきたいものです。
バーチャルオフィス選ぶ時に確認すべき3つのポイントをまとめてみました。
審査体制が甘いバーチャルオフィスの場合、住所が犯罪に利用されている可能性もあります。ネットで検索すると、自分の会社の住所が詐欺に使われていた……というケースも。ネットで一度ネガティブな情報が流れてしまうと消すことは難しくなっています。
また、契約者を選ばないバーチャルオフィスであれば、オフィスを訪れた際に悪質な経営者と顔を合わせる可能性もあります。
こういった失敗がないよう、契約前に運営会社の実態をよく調査すると同時に、審査体制がしっかりとしたバーチャルオフィスを選ぶようにしましょう。
バーチャルオフィスの会議室は女性起業家たちも安心して使うことができると先述しました。しかし、この会議室も運営会社によって品質が異なります。「会議室有り」とホームページ上に記載されているにもかかわらず、実際に足を運んでみるとマンションの一室を会議室と呼んで使っていたり、掃除が施されておらず不潔だったりという残念な事例もあります。さらに、スタッフが常駐しているにも関わらず、会議室の利用には無関心で何も案内をしてくれないというケースもあるようです。
実際に見学し、会議室の実用性やスタッフの対応を確認したほうが良いでしょう。
ホームページの情報だけでは分かりづらいかもしれませんが、そのバーチャルオフィスを利用している方のうちの女性の比率は気になるところです。利用者の中に女性が多いということは、それだけ女性が安心して使うことができるバーチャルオフィスであるという証拠。良心的な運営会社であれば、見学時にそういった情報も教えてくれるはずです。
また、スタッフの中に女性がいることも安心感に繋がりますね。
バーチャルオフィスは女性たちの働き方の選択肢を広げていく可能性を持っています。これから東京でビジネスを始めたいけれど、どこを拠点にするか決まらないという方は、ぜひ一度バーチャルオフィスを見学してみてはいかがでしょうか。
まずは足を運び、自分の目でオフィスの雰囲気やスタッフの対応を確かめることが大切です。