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【知らないと逮捕も】転売は違法?合法?弁護士が6つの法律違反ケースと罰則を徹底解説

フリマアプリやネットオークションが普及し、誰もが手軽にモノを売買できる時代になりました。「せどり」や「転売」という言葉も一般的になり、近年ではバーチャルオフィスを利用して起業した人や副業でお小遣い稼ぎとして取り組んでいる方も多いのではないでしょうか。しかし、その手軽さの裏には、知らぬ間に法律に触れてしまう大きなリスクが潜んでいます。「少し儲けたいだけ」という軽い気持ちで始めた転売が、実は犯罪行為にあたり、ある日突然、警察が自宅に来る…そんな最悪の事態も決して他人事ではありません。転売行為そのものが直ちに違法となるわけではありませんが、扱う商品や販売方法によっては、古物営業法、チケット不正転売禁止法、さらには詐欺罪といった法律に抵触する可能性があるのです。「知らなかった」では済まされないのが法律の世界です。この記事では、企業法務を専門とする視点から、どのような転売が違法となるのか、その具体的な6つのケースを法律ごとに分かりやすく解説します。また、合法的に転売を行うための注意点や、万が一の際に科される罰則についても詳しく掘り下げていきます。自分の身を守り、安心してビジネスを行うために、ぜひ最後までお読みいただき、正しい知識を身につけてください。

はじめに:その転売、本当に大丈夫?

「転売=悪」ではないが、法律違反のリスクはすぐそこに

「転売」と聞くと、コロナ禍でのマスク高額転売や、人気コンサートチケットの買い占めといったニュースを思い浮かべ、「なんだか悪いこと」というイメージを持つ方も少なくないでしょう。しかし、法的な観点から見ると、「安く仕入れて高く売る」という商行為自体は、資本主義経済の基本であり、何ら違法なものではありません。スーパーマーケットが農家から野菜を仕入れて消費者に販売するのも、広い意味では転売の一種です。問題となるのは、その転売行為が特定の法律やルールに違反する場合です。例えば、中古品をビジネスとして繰り返し転売するには「古物商許可」という警察の許可が必要ですが、これを知らずに無許可で営業してしまうケースが後を絶ちません。また、特定のチケットを高額で転売することは法律で明確に禁止されています。こうした法律の存在を知らずに、「みんなやっているから大丈夫だろう」という安易な気持ちで転売を続けることは、非常に危険です。ある日突然、アカウントが凍結されたり、警察から連絡が来たりといった事態に陥る可能性は、誰にでもあるのです。社会的なイメージと法的な現実は必ずしも一致しません。だからこそ、正しい知識を身につけ、自衛することが何よりも重要になります。

この記事を読めば、合法な転売と違法な転売の境界線がわかる

「自分のやっている転売は大丈夫だろうか?」と少しでも不安に感じたなら、それは正しい知識を身につける絶好の機会です。この記事では、あなたを法的なリスクから守ることを最大の目的としています。そのために、複雑に思える法律の問題を一つひとつ丁寧に紐解き、合法な転売と違法な転売を分ける明確な「境界線」を提示します。具体的には、転売で特に問題となりやすい「古物営業法」「チケット不正転売禁止法」「迷惑防止条例」「詐欺罪」「商標法・著作権法」、そして「医薬品医療機器等法」などの6つの法律・条例を取り上げ、どのような行為が違反にあたるのかを、具体的な事例を交えながら解説します。この記事を最後まで読み終える頃には、あなたは自身の転売ビジネスがどの法律に関連する可能性があるのかを判断できるようになり、潜んでいるリスクを未然に回避するための具体的な行動指針を手にしているはずです。法律は、私たちを罰するためだけでなく、守るためにも存在します。正しい知識という武器を身につけ、安全かつ公正なビジネス活動を行いましょう。

結論:転売は原則”合法”。ただし特定の条件下で”違法”となる

なぜ転売自体は罪に問われないのか?

まず大前提として、転売行為そのものを罰する法律は存在しません。個人であれ法人であれ、「ある商品を仕入れて、それに利益を上乗せして販売する」という行為は、自由な経済活動の一環として認められています。これは、私たちの社会が依拠する資本主義の根幹をなす原理原則です。例えば、メーカーから商品を仕入れた卸売業者が小売店に販売し、その小売店が消費者に販売する、という一連の流れもすべて転売です。限定品や人気商品を求める人が多く、需要が供給を上回れば、その市場価値は自然と高まります。その価値の差額を利益として得る「裁定取引」は、経済を円滑にする機能も持っています。したがって、個人がフリマアプリで限定スニーカーを定価以上の価格で販売したとしても、その行為自体が直ちに犯罪となるわけではありません。法が介入するのは、その行為が「誰かの権利を侵害する」「市場の公正性を著しく害する」「公の秩序を乱す」といった、社会的に保護すべき利益を脅かす特定の条件下に限られるのです。この「原則合法、例外的に違法」という構造を理解することが、転売のリスクを正しく把握するための第一歩となります。

法律や条例で規制される「例外的な転売」とは

転売が原則として合法である一方、なぜ特定の転売が法律で厳しく規制されるのでしょうか。その理由は、保護すべき社会的利益が存在するからです。例えば、「古物営業法」は、盗品の市場への流入を防ぎ、速やかな発見を図ることを目的としています。もし誰もが自由に中古品を売買できれば、泥棒が盗んだ品物を簡単にお金に換えられる社会になってしまいます。それを防ぐために、ビジネスとして中古品を扱う業者に許可制度と取引記録の義務を課しているのです。「チケット不正転売禁止法」は、本当にイベントへ行きたい人が適正な価格でチケットを入手できる機会を守るための法律です。一部の転売ヤーがチケットを買い占め、不当に高い価格で売りさばくことで、文化やスポーツの振興が妨げられることを防ぐ狙いがあります。同様に、偽ブランド品の転売はメーカーの商標権を侵害し、消費者を欺く行為です。医薬品の無許可販売は、国民の健康や安全に直接的な脅威をもたらします。このように、法律や条例による規制は、単に転売をいじめるためにあるのではなく、盗品犯罪の防止、消費者の保護、公正な経済秩序の維持、国民の安全確保といった、明確な目的を持って定められているのです。

【法律別】あなたの転売は大丈夫?違法になる6つのケースを徹底解剖

ケース1:古物営業法違反|許可なく中古品を繰り返し転売する

古物営業法とは?なぜ許可が必要なのか

古物営業法は、盗品などの犯罪被害品の流通を防止し、また、万が一流通してしまった場合にその速やかな発見を図ることを目的とした法律です。この法律の管轄は警察であり、違反した場合は厳しい罰則が科される可能性があります。もし、中古品の売買が完全に自由に行われてしまうと、窃盗犯が盗んだ品物を容易に現金化できてしまい、犯罪を助長することにつながりかねません。そこで、古物営業法では、ビジネスとして中古品(古物)を売買、交換、または委託販売する個人や法人に対して、営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会(窓口は警察署)から許可を受けることを義務付けています。この許可が「古物商許可」です。許可を受けた古物商は、取引相手の本人確認や、取引記録の作成・保管といった義務を負います。これにより、警察は盗品が市場に出回った際に、その流通経路を追跡しやすくなるのです。転売ビジネスを行う上で、この古物営業法は最も基本的かつ重要な法律の一つであり、知らなかったでは済まされないことを肝に銘じておく必要があります。

「古物」に該当するもの、しないもの

古物営業法でいう「古物」とは、一度使用された物品、もしくは使用されない物品で使用のために取引されたもの、またはこれらの物品に幾分の手入れをしたものを指します。具体的には、法律で以下の13品目に分類されています。

美術品類(書画、彫刻、工芸品など)

衣類(和服、洋服、その他の衣料品)

時計・宝飾品類(時計、眼鏡、宝石、装飾具など)

自動車

自動二輪車及び原動機付自転車

自転車類

写真機類(カメラ、レンズ、ビデオカメラなど)

事務機器類(パソコン、コピー機、電話機など)

機械工具類(工作機械、土木機械、医療機器類など)

道具類(家具、スポーツ用品、ゲームソフト、CD・DVDなど)

皮革・ゴム製品類(バッグ、靴、毛皮など)

書籍

金券類(商品券、乗車券、郵便切手など)

注意すべきは、一般的に「中古品」と呼ばれるものだけでなく、個人間で購入した「新品・未使用品」も、法律上は「使用のために取引されたもの」として古物に該当する点です。一方で、自分で新品を購入して一度も使わずに売る場合は古物に当たりません。自分が扱う商品がこの13品目に含まれるかどうかを正確に把握することが重要です。

H4:許可が必要なケースと不要なケースの具体例(自分の不用品を売る場合など)
古物商許可が必要かどうかを判断する最も重要なポイントは、「営利目的で、反復継続して古物を売買するかどうか」です。

【許可が不要なケースの例】

自分が使っていた洋服や本、ゲームなどをフリマアプリで売る場合。これは営利目的の「仕入れ」ではなく、あくまで個人の不用品処分と見なされるため、許可は不要です。

自分で新品を購入したものの、使う機会がなかったため販売する場合。これは「古物」の仕入れには当たらないため、許可は不要です。

無償でもらったものを販売する場合。仕入れにお金がかかっていないため、これも許可は不要とされています。

【許可が必要なケースの例】

転売目的で、リサイクルショップやフリマアプリ、ネットオークションから中古品を仕入れて販売する場合。これは明確に「営利目的の仕入れ」であり、一度きりではなく繰り返し行うのであれば許可が必須です。

せどりや副業として、継続的に中古のゲームソフトや本、アパレルなどを仕入れて販売する場合。これも事業性があると判断され、許可が必要となります。

要するに、「転売で儲けるために中古品を仕入れる」行為は、ほぼすべて許可が必要だと考えて間違いありません。

無許可営業の罰則:3年以下の懲役または100万円以下の罰金

もし古物商許可が必要であるにもかかわらず、無許可で営業を行った場合、古物営業法違反として非常に重い罰則が科される可能性があります。その罰則は「3年以下の懲役または100万円以下の罰金」です。これは決して軽い罪ではありません。実際に、無許可で中古品の転売を繰り返していた個人が逮捕される事例も報道されています。「少しのお小遣い稼ぎのつもりだった」という言い分は通用しません。また、無許可営業で罰せられると、その後5年間は古物商許可を取得できなくなるという行政上のペナルティも科されます。将来的に本格的に事業を始めたいと考えていても、一度違反するとその道が長期間閉ざされてしまうのです。たかが転売と安易に考えず、自分がやろうとしていることが法律に触れないかどうかを事前に確認し、必要であれば速やかに許可申請を行うことが、リスクを回避し、ビジネスを継続させるための唯一の方法です。

ケース2:チケット不正転売禁止法違反|特定興行入場券を高額転売する

チケット不正転売禁止法とは?

正式名称を「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」といい、2019年6月14日に施行されました。この法律が制定される前は、人気アーティストのコンサートやスポーツの試合などのチケットが、一部の業者や個人によって大量に買い占められ、オークションサイトなどで何倍、何十倍もの高値で転売される問題が深刻化していました。これにより、本当にその興行に行きたいファンが正規の価格でチケットを購入できず、不公平な状況が生まれていました。チケット不正転売禁止法は、このような悪質な高額転売を規制し、興行チケットが適正な価格で公平に流通することを目的としています。この法律のポイントは、日本国内で行われるすべての興行チケットが対象ではなく、「特定興行入場券」という特定の条件を満たすチケットに限定して、不正転売を禁止している点です。

規制対象となる「特定興行入場券」の3つの条件

チケット不正転売禁止法で規制の対象となるのは、「特定興行入場券」に限られます。あるチケットが特定興行入場券に該当するためには、以下の3つの条件をすべて満たしている必要があります。

興行主の同意のない有償譲渡を禁止する旨が明記されていること: チケットの券面や、販売時のウェブサイト、広告などに「主催者の同意なく、このチケットを有償で譲渡することを禁じます」といった内容が記載されている必要があります。

興行の日時・場所、座席(または入場資格者)が指定されていること: いつ、どこで、誰が(もしくはどの席で)観覧できるかが特定されているチケットが対象です。入場者が指定されていない自由席のチケットでも、日時と場所が指定されていれば該当します。

入場資格者や座席の指定と購入者の氏名・連絡先を確認する措置がとられており、その旨がチケット券面に記載されていること: いわゆる「本人確認」が行われるチケットがこれにあたります。入場時に運転免許証などの身分証明書の提示が求められる場合などが典型例です。

これら3つの条件をすべて満たすチケットのみが法律の規制対象となります。したがって、例えば友人に行けなくなったチケットを定価で譲るような行為は、この法律の規制対象外です。

違法となる行為:「不正転売」と「不正転売目的の譲り受け」

チケット不正転売禁止法で禁止されている行為は、大きく分けて二つあります。
一つ目は「特定興行入場券の不正転売」です。これは、興行主の事前の同意を得ずに、業として(反復継続の意思をもって)、元の販売価格を超える価格で特定興行入場券を転売する行為を指します。ポイントは「元の販売価格を超える価格」という点です。たとえ1円でも定価を上回る価格で転売すれば、それは不正転売に該当します。送料や手数料を上乗せする場合も、社会通念上妥当な範囲を超えれば違法と判断される可能性があります。
二つ目は「不正転売を目的として特定興行入場券を譲り受けること」です。つまり、自分で高額転売するつもりで購入する行為、すなわち「仕入れ」の段階からすでに違法となるのです。これにより、転売ヤーによるチケットの買い占め行為そのものを規制することが可能になりました。自分で観るつもりがないのに、転売目的で大量のチケットを購入する行為は、明確な法律違反となります。

罰則:1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金またはその両方

チケット不正転売禁止法に違反した場合、非常に厳しい罰則が科せられます。不正転売を行った者、または不正転売目的でチケットを譲り受けた者には、「1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはその両方」が科されることになります。この法律が施行されて以降、実際に高額転売を繰り返していた個人や業者が逮捕される事例が全国で相次いでいます。警察はインターネット上の取引を厳しく監視しており、「匿名だからバレないだろう」という考えは通用しません。軽い気持ちで人気チケットの転売に手を出すと、ある日突然、犯罪者として扱われることになりかねません。ファン心理につけ込む悪質な高額転売は、法律で固く禁じられているということを、強く認識しておく必要があります。

ケース3:迷惑防止条例違反|公共の場でのダフ屋行為

チケットの転売に関連して、もう一つ注意すべきなのが各都道府県が定める「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」、いわゆる「迷惑防止条例」です。この条例には、多くの自治体で「ダフ屋行為の禁止」に関する規定が含まれています。ダフ屋行為とは、不特定の者に対し、公共の場所(駅、公園、興行場の周辺など)や乗り物において、転売目的でチケットなどを購入しようとしたり、転売しようとしたりする行為を指します。チケット不正転売禁止法が主にインターネット上を含む「価格」に着目した規制であるのに対し、迷惑防止条例は「公共の場所での迷惑行為」という側面から規制をかけています。例えば、コンサート会場の前で「チケット余ってませんか?」としつこく声をかけたり、「チケットあるよ」と通行人に売りつけたりする行為が典型例です。たとえ定価での売買であっても、こうした行為は条例違反に問われる可能性があります。罰則は自治体によって異なりますが、懲役や罰金が科されることが一般的です。ネット上の取引だけでなく、オフラインでのチケット売買にも法的なリスクが伴うことを覚えておきましょう。

ケース4:詐欺罪|転売目的を隠して限定品などを購入する

一見すると単なる転売行為が、刑法上の「詐欺罪」という重い犯罪に問われる可能性があることをご存知でしょうか。これは特に、購入する際に「転売目的での購入を禁止」している販売店から、その目的を隠して商品を購入した場合に成立し得ます。詐欺罪は、①人を欺く行為(欺罔行為)によって、②相手方を錯誤に陥らせ、③財物や財産上の利益を交付させることで成立します。販売店が「転売目的の方には販売しません」という明確な意思表示をしているにもかかわらず、購入者が「自分で使います」と偽ったり、転売目的であることを黙っていたりして商品を購入する行為は、この「人を欺く行為」にあたる可能性があるのです。販売店側は「転売しないだろう」と信じて(錯誤に陥って)商品を販売しているため、詐欺罪の構成要件を満たすという理屈です。過去には、限定品のフィギュアを転売目的で購入した人物が、この詐欺罪の容疑で逮捕された事例も存在します。販売店のルールを軽視し、「買ってしまえばこっちのもの」と考えるのは非常に危険です。特に、購入数量が制限されている商品を何度も並び直して購入するような行為は、悪質な欺罔行為とみなされるリスクが高まります。

ケース5:商標法・著作権法違反|偽ブランド品や海賊版を転売する

フリマアプリなどで利益を上げやすい商品として、ブランド品やキャラクターグッズ、映像ソフトなどが挙げられますが、これらの商品を扱う際には知的財産権、特に「商標権」と「著作権」に細心の注意を払う必要があります。他人の商標権を侵害する偽ブランド品(スーパーコピー品など)や、著作権を侵害する海賊版のDVD・Blu-ray、不正にコピーされたソフトウェアなどを販売する行為は、明確な法律違反です。商標法や著作権法では、これらの侵害品を販売目的で所持すること自体も禁止されています。ここで最も注意すべきは、「偽物とは知らなかった」「海賊版だとは思わなかった」という言い訳が通用しにくい点です。正規のルート以外から不自然に安い価格で商品を仕入れた場合など、状況によっては「知らなかったことに過失がある」と判断され、罪に問われる可能性があります。これらの法律に違反した場合の罰則は非常に重く、例えば商標法違反では「10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金」、著作権法違反(侵害とみなされる行為)では「10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金」が科されることがあります。安易な儲け話には乗らず、仕入れる商品の真贋を確実に見極めることが、転売ビジネスを行う上での絶対条件です。

ケース6:その他の法律・条例違反|医薬品やお酒などの無許可販売

転売の対象とする商品によっては、これまで挙げた法律以外にも、特別な許可や免許が必要となるケースがあります。その代表例が「医薬品」と「お酒」です。まず、医薬品、医療機器、化粧品などを販売するには、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法、旧薬事法)」に基づき、都道府県知事の許可が必要です。コロナ禍でマスクやアルコール消毒液が品薄になった際、政府が一時的に高額転売を規制したことは記憶に新しいですが、そもそも許可なくこれらの衛生用品を継続的に販売すること自体が法律違反にあたります。海外から輸入したサプリメントや化粧品なども、日本の法律で医薬品成分が含まれていると判断されれば、無許可販売として罰せられる対象となります。また、お酒(アルコール分1度以上の飲料)を継続的に販売する場合も、「酒税法」に基づき税務署から「酒類販売業免許」を取得する必要があります。個人の不用品として1〜2本売る程度であれば問題ありませんが、ビジネスとして海外の珍しいお酒を仕入れて販売するような行為は、無免許販売として処罰の対象となり得ます。自分が扱おうとしている商品に、こうした特別な規制がないかを事前に調査することは、転売を行う上での基本的な義務と言えるでしょう。

法律違反だけじゃない!転売に潜む4つの末路

リスク1:逮捕・書類送検による刑事罰

転売における最大のリスクは、言うまでもなく法律違反による刑事罰です。これまで見てきたように、古物営業法の無許可営業、チケット不正転売禁止法違反、詐欺罪、商標法違反など、転売に関連する行為には懲役刑や罰金刑といった重い罰則が定められています。逮捕されれば身柄を拘束され、長期間にわたる取り調べを受けることになります。たとえ在宅のまま捜査が進む書類送検であっても、最終的に起訴され有罪判決が下れば、前科がつくことになります。前科がつけば、就職や海外渡航、特定の資格取得などで将来にわたって不利益を被る可能性があります。「たかが転売で」と軽く考えていると、人生を大きく左右する事態に発展しかねません。特に、組織的に大規模な転売を行っていたり、悪質な手口で多額の利益を得ていたりするケースでは、警察も厳しい姿勢で臨みます。インターネット上の取引はすべて記録が残っており、「匿名だから大丈夫」ということは決してありません。軽い気持ちで法を犯すことの代償は、想像以上に大きいということを肝に銘じておくべきです。

リスク2:プラットフォームの規約違反によるアカウント凍結

たとえ法律に直接触れないグレーな転売行為であっても、利用しているフリマアプリやネットオークションサイトの利用規約に違反した場合、厳しいペナルティが科される可能性があります。その最も重い処分が、アカウントの永久凍結(強制退会)です。各プラットフォームは、独自のルールを設けており、例えば「メーカーが転売を禁止している商品の出品」「無在庫転売」「大量の無差別出品」などを禁止している場合があります。規約に違反すると、まずは商品の削除や一時的な利用制限といった警告がなされることが多いですが、違反を繰り返したり、悪質だと判断されたりした場合には、予告なくアカウントが凍結されます。アカウントが凍結されると、そのプラットフォームでの販売活動が一切できなくなるだけでなく、売上金が没収されたり、再登録が永久に不可能になったりすることもあります。長年かけて築き上げてきた評価や信頼も、一瞬にして失われるのです。法律を守るのはもちろんのこと、自分がビジネスを行う「場」であるプラットフォームのルールを正しく理解し、遵守することも、安全に転売を続けるためには不可欠です。

リスク3:メーカーからの損害賠償請求

悪質な転売行為は、刑事罰やプラットフォームからのペナルティだけでなく、民事上の責任を問われるリスクもはらんでいます。特に、ブランドの価値を毀損するような転売行為に対しては、メーカー側が法的措置に踏み切るケースがあります。例えば、メーカーが設定した品質保証の対象外となる商品を、あたかも正規品であるかのように転売し、その結果、購入者が健康被害を受けたり、製品が故障したりした場合、メーカーのブランドイメージは大きく傷つきます。このような場合、メーカーはブランド価値を毀損されたとして、転売を行った者に対して損害賠償を請求する可能性があります。また、著作権や商標権を侵害する偽物や海賊版を販売した場合は、権利者から販売差止請求や損害賠償請求を受けることはほぼ確実です。民事訴訟となれば、高額な賠償金の支払いを命じられるだけでなく、弁護士費用などの訴訟対応コストもかかります。刑事上の責任とは別に、経済的にも大きな打撃を受ける可能性があることを忘れてはなりません。

リスク4:社会的信用の失墜

法律違反や規約違反が発覚した場合、その影響は法的なものや金銭的なものに留まりません。現代のインターネット社会において、一度失った社会的信用を取り戻すことは極めて困難です。転売行為が原因で逮捕されたり、プラットフォームから追放されたりした事実がニュースやSNSで拡散されれば、本名や顔写真などの個人情報が瞬く間に世間に知れ渡る可能性があります。そうなれば、現在の勤務先での立場が危うくなることはもちろん、家族や友人との関係にも深刻な影響を及ぼすかもしれません。たとえ刑事罰に至らないようなケースであっても、「金儲けのためにルールを破る人間」というレッテルが貼られてしまえば、その後の社会生活に大きな支障をきたします。ビジネスは信用の上に成り立つものです。目先の利益のために不正な手段に手を染めることは、長期的に見て自分自身の首を絞める行為に他なりません。短期的な利益を追うのではなく、法令やルールを遵守し、社会的に正当な方法で利益を追求することこそが、持続可能なビジネスを築くための唯一の道です。

これってセーフ?アウト?転売に関するQ&A

Q. 自分で使うつもりで買った限定品、不要になったので定価以上で売りたい

A. このケースは、法的にグレーゾーンを含みますが、直ちに違法と断定される可能性は低いです。ポイントは「当初の購入目的」と「反復継続性」です。本当に自分で使用する目的で購入し、その後に事情が変わって不要になったものを一度だけ販売するのであれば、古物営業法でいう「営業」には該当せず、古物商許可は不要です。また、チケット不正転売禁止法の対象となる「特定興行入場券」でなければ、定価以上で販売したこと自体を罰する法律はありません。しかし、「本当に自分で使うつもりだったのか」という内心の意思を証明することは困難です。もし、同様の行為を何度も繰り返していれば、「最初から転売目的だったのではないか」と疑われ、古物営業法違反や、場合によっては詐欺罪に問われるリスクが高まります。一度きりの不用品処分であれば問題になる可能性は低いですが、疑わしい行為と見なされないよう、慎重に行動することが賢明です。

Q. フリマアプリで「転売禁止」と書かれたハンドメイド品を転売するのは?

A. この場合、法律違反に問われる可能性は低いですが、プラットフォームの規約違反や民事上のトラブルに発展する可能性があります。出品者が商品説明欄に記載した「転売禁止」という文言は、あくまで当事者間の「お願い」や「契約条件の提示」に過ぎず、それ自体に法律のような強制力はありません。したがって、これを転売したからといって、直ちに警察に逮捕されるようなことは通常ありません。しかし、フリマアプリの運営側が、こうした個人間のルールを尊重し、トラブル防止の観点から「出品者が転売を禁止している商品の転売」を規約で禁じている場合があります。その場合は、規約違反として商品削除やアカウント利用制限などのペナルティを受ける可能性があります。また、元の出品者から「契約違反だ」として、民事上のクレームを受けたり、悪い評価をつけられたりするトラブルの原因にもなります。法的にセーフであっても、円滑な取引を行うためには、こうした個別のルールにも配慮することが望ましいでしょう。

Q. メーカーが公式サイトで「転売禁止」を謳っているが、法的な効力は?

A. メーカーが公式サイトなどで「転売禁止」を明示している場合、その法的効力は状況によって異なります。まず、メーカーと直接購入契約を結んだ一次購入者がその禁止条項に同意して購入した場合、これは当事者間の契約(特約)として有効になる可能性があります。この一次購入者が転売を行った場合、メーカーから契約違反を理由に損害賠償を請求されるリスクはゼロではありません。しかし、その転売品をさらに購入した二次購入者、三次購入者に対してまで、メーカーがその効力を主張することは一般的に困難です(対抗できない)。ただし、前述の通り、販売店が「転売目的での購入を禁止」しているにもかかわらず、その目的を偽って購入した場合は詐欺罪に問われる可能性があります。また、メーカーによる転売禁止の表明は、それ自体が法律になるわけではありませんが、社会的なメッセージとして重要です。悪質な転売が横行すれば、メーカーが製品の販売方法を抽選制に変更したり、購入制限を厳しくしたりするなど、結果的に一般の消費者が不利益を被ることにつながる可能性があります。

Q. 海外から個人輸入した商品を日本で転売するのは?

A. 海外から個人輸入した商品を日本で転売する行為は、特に注意が必要であり、複数の法律に抵触するリスクをはらんでいます。まず、それが中古品であれば、日本国内で販売する際に古物商許可が必要です。また、商品によっては日本の安全基準(PSEマーク、技適マークなど)を満たしていない電化製品や、日本の法律で規制されている成分を含む化粧品・サプリメントである可能性があります。これらを無許可・無承認で販売すると、それぞれ電気用品安全法や医薬品医療機器等法に違反します。さらに、ブランド品の場合は偽物であるリスクも高く、知らずに販売すれば商標法違反に問われます。著作権に関しても、海外では合法でも日本では違法となる海賊版なども存在します。関税法上の問題も発生し得ます。安易に海外から商品を仕入れて転売することは、極めてハイリスクな行為です。それぞれの商品の輸入・販売に関する規制を個別に、かつ正確に調査・確認しない限り、絶対に手を出さないようにすべきです。

知らないうちに加害者にならないために!安全に転売を行う3つの鉄則

鉄則1:【最重要】ビジネスとして行うなら古物商許可を取得する

転売を単なる一回きりの不用品処分ではなく、継続的な収入源、つまりビジネスとして行うのであれば、古物商許可の取得は避けて通れない絶対的な義務です。少しでも「転売で儲けるために中古品を仕入れる」という行為を行う可能性があるなら、迷わず許可を申請しましょう。申請手続きは、営業所の所在地を管轄する警察署の防犯係が窓口となり、申請書類と手数料(19,000円程度)が必要です。手続きが複雑に感じる場合は、行政書士などの専門家に依頼することもできます。許可を取得することで、あなたは法的に認められた古物商として、堂々と中古品の売買ができるようになります。これは、無許可営業という最も基本的なリスクを回避するだけでなく、取引相手からの信頼を得る上でも非常に重要です。許可証を提示できることは、あなたが遵法精神を持った誠実な事業者であることの証明になります。ビジネスの基盤を固め、長期的に安定した運営を目指すなら、古物商許可の取得は最初に行うべき最優先事項です。

鉄則2:各プラットフォームの利用規約を必ず確認・遵守する

法律を守ることは大前提ですが、それと同じくらい重要なのが、あなたが利用するフリマアプリやネットオークションサイトの利用規約を遵守することです。法律上は問題ない行為でも、プラットフォームの規約では禁止されているケースは少なくありません。例えば、「無在庫転売」「メーカー公式サイト画像の無断転載」「福袋の中身を個別に高額で販売する行為」などは、多くのプラットフォームで禁止されています。規約を読まずに自己流で販売を続けると、ある日突然、出品を削除されたり、アカウントを凍結されたりする可能性があります。そうなれば、せっかく築いた販売実績や評価がすべて水の泡です。ビジネスを始める前に、まずは利用するプラットフォームのガイドラインや禁止事項のページを隅々まで熟読しましょう。不明な点があれば、ヘルプページで確認したり、運営に問い合わせたりすることが重要です。ルールという土俵の上で戦ってこそ、真のビジネスは成り立ちます。規約を遵守することは、あなた自身のアカウントとビジネスを守るための強力な盾となるのです。

鉄則3:仕入れ元の信頼性を確認し、怪しい商品は扱わない

安全な転売ビジネスを継続するためには、何を売るかだけでなく、「どこから仕入れるか」が極めて重要になります。特に、ブランド品や人気の電子機器、コレクターズアイテムなどを扱う場合は、その商品が本物であるか、盗品ではないかといった真贋や出所を厳しく見極める必要があります。相場よりも不自然に安い価格で販売されている商品や、出所が不明瞭な個人からの仕入れには、常に偽物や盗品のリスクがつきまといます。「偽物とは知らなかった」という言い訳は通用しないケースが多いことを肝に銘じてください。信頼できる卸売業者や正規代理店、評価の高い中古販売店など、仕入れ元の信頼性を常に確認する癖をつけましょう。少しでも「怪しいな」と感じた商品には、たとえ利益が大きく見込めるとしても絶対に手を出さない勇気が必要です。目先の利益に目がくらんでリスクの高い商品を扱えば、一度の失敗でビジネス全体が破綻し、法的な責任まで問われかねません。堅実で信頼性の高い仕入れルートを確立することが、長期的な成功への鍵となります。

最後に

本記事では、転売に潜む法的なリスクについて、6つの具体的なケースを中心に詳しく解説してきました。転売は、ルールを正しく理解し、それを遵守すれば、有益なビジネスモデルとなり得ます。しかし、その裏側には古物営業法、チケット不正転売禁止法、詐欺罪といった、知らなければ人生を狂わせかねない多くの落とし穴が存在します。重要なのは、「自分は大丈夫だろう」という根拠のない自信や、「みんなやっているから」という安易な同調を捨てることです。ビジネスとして転売を行う以上、あなたは一人の事業者であり、その行為には法的な責任が伴います。この記事を参考に、ご自身のビジネスが法律に抵触していないかを今一度点検し、必要な許可の取得や、規約の再確認を行ってください。正しい知識は、あなたを不要なトラブルから守る最強の武器です。法令とルールを遵守し、社会から信頼される公正なビジネスを心がけていきましょう。

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